現在、北海道には179の市町村があり、その市町村の中に字名(地区名)が数多くあります。
以前から北海道の地名は難読なものが多いと言われており、よくクイズなどで出題されていたりします。
ドライブで車を走らせていると、アオカンに読めない地名が出てくることもしばしば…
そんな時は、ローマ字が振られているのを見て、そう読むのかと分かったり、なんで?と思うこともあったりします。
北海道の地名は、アイヌ語が語源であることが多いので、他の都府県と比べると特徴的であることが分かります。
そんな特徴についてもご紹介しながら、北海道の難読地名についてご紹介していきたいと思います。
アイヌ語についての注意点
アイヌ語を取り扱う場合について、一部でセンシティブに扱われる場合があります。
歴史的な背景もあるので仕方のないことかも知れませんが、ここでは2点だけあらかじめ注意しておきたい点があります。
- アイヌ語の表記について、正しくは小文字で「シ」「ク」「プ」「ラ」などの表記になる場合がありますが、ここでは便宜上半角カナで表記することとしています。
- アイヌ語に由来する地名について、その由来が諸説あります。ここで紹介するのはそのうちのごく一部であるので、あらかじめご理解下さい。
アイヌ語は、元々口伝によって伝えられ、文字の文化が無かったと言われています。
そのため、現在の日本語にはアイヌ語に該当する表示方法が無いので、ここでは半角カナで代用しますが、場合によっては文字化けする可能性もあることをご了承下さい。
また、地名の由来についてもはっきりしたものが存在しないので、いくつかの説がある場合もあります。
その点はあらかじめご理解いただけると幸いです。
北海道の地名に見られる特徴とは?
北海道の地名を一覧で見てみると、いくつかの特徴が見られます。
これは、アイヌ語に由来する言葉から来ているためですが、アイヌ文化は自然崇拝であるため、山や川など地形の様子を表現した言葉が元になっているものが数多くあります。
後述しますが、例えば「江別(えべつ)」「紋別(もんべつ)」「然別(しかりべつ)」と「ベツ」が付くものや「稚内(わっかない)」「朱鞠内(しゅまりない)」「神恵内(かもえない)」など、「ナイ」と付くものが多くあります。
これらは、アイヌ語に由来する言葉から来ているという特徴を如実に表しています。
そこでまずは、これら北海道の地名における特徴をいくつか紹介していきます。
「ベツ」が付く地名について
アイヌ語で川を意味する「ペッ」というのが由来となっています。
この「ペッ」という言葉に対して、「別(ベツ)」という漢字を当てて地名としています。
【別のつく地名の例】
- 愛別(あいべつ):「アイペッ」が語源。アイは矢、ペッは川。矢のように流れが早い川というのが由来となっています。
- 芦別(あしべつ):「ハシュペッ」「アシペッ」が語源。ハシュは灌木、アシは立つの意味。灌木の中を流れる川、立つ川が由来。
- 然別(しかりべつ):「シカリペッ」が語源。シは自分、カリは回す。自分を回す川が由来。ゆったりと半円を描いている川があった。
- 登別(のぼりべつ):「ヌプルペッ」が語源。ヌブルは水の色が濃いという意味。温泉の成分が川に流れ込んでいたのが由来のようです。
- 別海(べつかい):「ペッカイ」が語源。川が折れるという意味で、曲がりくねった川の様子が語源のようです。
「ナイ」が付く地名について
実は、こちらの「ナイ」という言葉もアイヌ語で川を表しています。
使い分けについては、ナイというのは「沢」に近いようですが、アイヌ語は地域によって方言が強く出ていることもあるようで、一概には言えないかも知れません。
【内のつく地名の例】
- 岩内(いわない):未だに定まった説が無いが、「イワウナイ」が有力。硫黄の沢が由来となっているという説がある。
- 神恵内(かもえない):「カムイナイ」が語源。カムイは神の、ナイが川。神の川という意味。
- 朱鞠内(しゅまりない):「スマリナイ」が有力。はっきりしていないが、狐の(多い)川、石の高い川という意味がある。
- 幌加内(ほろかない):「ホロカナイ」が語源。ホロカは後戻りするという意味。後戻りする川が由来となっています。
- 稚内(わっかない):「ヤムワッカナイ」が語源。ヤムが冷たい、ワッカが飲水。冷たい水の川という意味が由来。
「カップ」が付く地名について
冠と書いて、「かっぷ」と読む地名が北海道にはいくつかあります。
アイヌ語で、「カプ」という単独の言葉ではなく、「アイカプ」と一塊の単語として地名になったものが多いようです。
【冠のつく地名の例】
- 愛冠(あいかっぷ):「アイカプ」が語源。会話での意味は「できない(不可能)」で、転じて矢が届かない断崖絶壁が由来のようです。
- 占冠(しむかっぷ):「シムカプ」が語源。本流という意味があるそうですが、鵡川を指しているとか。
- 新冠(にいかっぷ):「ニカプ」が語源。ニレの木の皮が由来となっているようです。
- 正利冠(まさりかっぷ):「マサリカプ」が語源。草原の木の皮が由来となっているようです。
【超難読地名】これ読めますか?
多分、北海道民でも読める人が少ないと思われる超難読地名をご紹介していきます。
さて、何問答えられるでしょうか?
- 押帯(本別町)
- 敏音知(中頓別町)
- 濃昼(石狩市)
- 白人(幕別町)
- 発足(共和町)
- 馬主来(白糠町)
- 分遣瀬(釧路町)
- 知方学(釧路町)
- 重蘭窮(釧路町)
【超難読地名】解答編!!
上記の超難読地名の解答編です。
- 押帯(本別町):おしょっぷ
- 敏音知(中頓別町):ぴんねしり
- 濃昼(石狩市):ごきびる
- 白人(幕別町):ちろっと
- 発足(共和町):はったり
- 馬主来(白糠町):ぱしくる
- 分遣瀬(釧路町):わかちゃらせ
- 知方学(釧路町):ちっぽまない
- 重蘭窮(釧路町):ちぷらんけうし
面白い難読地名を紹介!!
ここでは、ちょっと面白い難読地名を紹介していきます。
- 愛冠(あいかっぷ):「Iカップ」と読めますね。
- 入境学(にこまない):「煮込まない」と読めてしまう難読地名です。
- 於札内(おさつない):「お札無い」とちょっと残念な地名ですね。「札内(さつない)」という地名もあります。
- 喜登牛(きとうし):「祈祷師」と読めます。他にも「鬼斗牛」「岐登牛」という同じ読みの地名があります。
- 茶志内(ちゃしない):「茶しない?」ってナンパしてるみたいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
他にもたくさんの難読地名があるので、色々と調べてみるのも楽しいですし、実際に行ってみるのも面白いですね。
地名だけじゃなく、河川名も面白い名前があるので、機会があったら紹介してみたいと思います。
北海道の公式サイトでは、地名・河川名・山岳名・湖沼名なども併せて紹介しているので、参考にどうぞ。