先日、2020年7月2日に国土交通省は、新型コロナ感染防止対策の一環として、高速道路料金所を無人化することを検討すると発表しました。
現在、ETCの利用率は93%に達しているとして、料金所の無人化も現実を帯びてきました。
新型コロナに感染した料金所係員も出たため、これを契機に無人化の検討が加速した形です。
93%という数字も、高速道路利用者に対する割合なので、ETCカードを持っていないから高速道路を利用しないというドライバーも多いと思います。
そのような人が、たまたま高速道路を利用しても、これまでは現金で通過できましたが、無人化になってしまうとかえって利用しづらくなってしまう可能性があります。
今回は、高速道路料金所の無人化について検討するとしただけで、いつまでにどのように実施するかは、これからの課題だと思いますが、無人化が実施されると、どのように変わっていくのか、少しだけ解像度を上げて想像してみたいと思います。
あくまでも、想像してみた予想であって、明確な根拠があるわけではないことは、予めご了承下さい。
料金所係員の人員削減
今回、新型コロナの影響もあり、無人化が検討されていますが、一番目に見える形で影響が出てくるのが、「料金所係員の人員削減」です。
そもそも料金所の係員は、高速道路管理会社である、NEXCO東日本や西日本の正社員または契約社員が担っています。
正社員であれば、別の担当に配属される可能性もありますが、契約社員の場合は有期雇用になるため、料金所が無人化になるとともに契約満了となってしまうでしょう。
50代以上の再雇用の場として、需要が高く実は人気の職種であるという側面もありましたが、これが失われてしまうことになります。
また、係員の仕事は料金収受業務だけでなく、ゲートのトラブル対応や工事業者との応対など、多岐に渡っています。
無人になるということは、トラブルがあった場合には、他所から駆けつけなくてはいけなくなるため、対応にタイムラグが発生することになります。
そういった問題の解決も予め考えておく必要があります。
料金所の設備投資
現在設置されているETCのゲートは、そのまま活用されますが、有人の料金所は全て無人のETCゲートに変える必要があります。
もう少し踏み込んで考えると、全てETCのゲートにするのではなく、一部は自動精算機のような機械に変わるかもしれません。
ETCカードを持たない人でも現金で精算できるものが必要になると考えています。
現在ではもっと減ってきていると思いますが、平成19年3月時点で現金でも利用可能なレーンは、全国で4,177箇所あったそうです。
それら全てを無人化するには、時間も予算も相当かかると思われます。
その試算を出すために、国交省はこれから検討に入るのでしょうね。
ETC車載器導入の負担
ここまでにご紹介したお話は、高速道路側の問題でしたが、次に問題となってくるのは、ETC車載器導入の負担が増大するということです。
これまでは現金やクレジットカード、回数券などで対面式で利用できましたが、無人化になるとそれらが難しくなってきます。
もちろん、それに対応した自動改札機のような機械が、ETC専用レーンの他に設置されていれば解消されると思いますが、無人化を大義名分にETCカード利用者を増やすための施策が打たれると思います。
例えば、以前実施されたETC車載器導入費用の助成のような施策やETC利用による高速道路利用料金の割引など、利用者の負担を軽減する施策が考えられます。
最初にお話ししたように、高速道路利用者の93%がETCを導入していますが、そもそも高速道路を利用していないドライバー、自動車保有台数も決して少なくありません。
一説には、ETC普及率は50〜60%と言われています。
今後、料金所が無人化となった場合、ETC未装着のドライバーはますます高速道路を利用しづらくなるマインドになりそうです。
裏を返すと、高速道路の利用者に至っては、9割以上がすでに装着しているので、残り1割に装着を啓蒙すれば、無人化しても大きな問題にならないかもしれません。
まとめ
以前から検討はされていたと思いますが、高速道路料金所の無人化問題が、新型コロナによって炙り出された形になりました。
ざっくり大きく分けて、「人員削減」「インフラ整備」「利用者負担」の問題を解決しなくてはいけないと思います。
もっと専門家のいわゆる有識者の皆さんが、知恵を絞ってくれていると思いますので、我々利用者が快適なドライブを楽しめるようになってくれることを期待しています。
最後に、ETCカード導入の負担を軽減する方法の一つとして法人カードもあるので、検討してみることをオススメして締めたいと思います。