皆さんは、「リレーアタック」という言葉をご存知でしょうか?
最近テレビの報道でも繰り返し紹介されていますが、スマートキーを悪用した新手の車両盗難手口です。
これは、スマートキーの電波を利用するため、証拠が残らず、僅か数秒で犯行が完了してしまいます。
そんなリレーアタックの手口や仕組み、対策についてご紹介していきます。
リレーアタックの盗難手口とは
まずは、こちらの動画をご覧下さい。
これはイギリスで実際に行われた犯行の一部始終です。
左から不審な車が来て、二人の犯人が現れます。
一人は箱のようなものを持ち、家の方に向かいます。
もう一人は車のそばに立っています。
その後、僅かな時間でドアミラーのランプが光ります。
ドアロックが解除された瞬間です。
箱を持った方がいったん家から離れます。
ドアの開け閉めの音で、住人が目を覚ました時にすぐに逃げられるようにしているものと思われます。
もう一人が車に乗り込みドアを閉めると、箱を持った方が再び家に近づきます。
その後、数秒でエンジンがかかり、箱を持った人物が足早に自分の車に乗り込み、車を盗み出してしまいました。
リレーアタックの盗難手口を解説
上記の場合、一人は車の前に居て、手にはスマートキーのような受信機を持っています。
もう一人は、箱のような送信機を持って家に近づきます。
家には車の持ち主がスマートキーを保管しています。
そのスマートキーからの電波を送信機で増幅し、車のそばにいる共犯者に電波を送ります。
車のそばにいるもう一人は、受信機で受け取った電波を使ってドアロックを解除、エンジンスタートを行います。
正規のスマートキーから発信された電波を使っているため、車のコンピューターやシステムは正規のものと判断してしまいます。
後でメーカーがシステムを解析しても、正しく開錠された履歴しか残っていないため、証拠が残らないのもこの手口の特徴です。
リレーアタックは白昼堂々と行われるケースも
イギリスの例では、深夜に自宅前に駐車している車両が狙われました。
しかし、白昼堂々と盗む例もあります。
ショッピングセンターの駐車場などに止めた際に、持ち主に近づきスマートキーの電波を受信し、車の近くにいる共犯者に電波を送信して、持ち主が買い物中に盗んでしまうというパターンです。
リレーアタックで盗難が可能となってしまうスマートキーの仕組み
スマートキーは、かばんやポケットに入れたままでもドアロックを解除したり、エンジンをスタートできたり、大変便利ですね。
スマートキーからは常時微弱な電波(315MHz帯)が出力されています。
一方、車両側も同様に微弱な電波(125/134kHz)が出力されます。
電波の有効距離は、およそ3mほどでそれ以上離れると反応しなくなります。
そこで、送信機を使って中継し、電波を増幅して受信機へ送ります。
電波を中継して攻撃を仕掛けるため、リレーアタックと呼ばれています。
車を運転しない時は、大抵の場合カギを家の玄関に置いていたり、カバンやポケットにしまっていると思います。
そこで犯人は、家の中に向かって送信機(増幅装置)でスマートキーの微弱な電波を拾うことを試みます。
スマートキーが発信している電波は、家の壁をすり抜けて外にも出て行くので、外から電波を受信することができます。
送信機で受け取った電波は、暗号化されており、通常はコピー出来ません。
したがって、リレーアタックは電波の信号を複製するのではなく、ただ中継して送るだけという行為になります。
電波は改変されていないため、車のドアロックやエンジンスタートのシステムは、正しい電波を受け取ったと認識して、ドアを解錠したり、エンジンをかけたりしてしまいます。
リレーアタックは日本国内でも犯行が行われている!?
先日の報道で、東大阪市でもこのリレーアタックの被害が報告されていました。
プリウスやレクサス、ハイエースなど、海外で人気の高い車種が狙われやすくなっています。
現在では、日本国内で販売されている車のほとんどにスマートキーが標準装備されています。
つまりほとんどの車両がこの犯罪のターゲットになってしまうということです。
メーカーも常に対策を施していますが、イタチごっこの繰り返しです。
それでは、リレーアタックから愛車を守る対策は無いのでしょうか?
実は比較的簡単に対策することが可能です。
リレーアタックの被害から愛車を守る対策とは?
リレーアタックから愛車を守る方法としては、スマートキーの電波を遮断する以外にありません。
では、どのようにして電波を遮断したら良いのでしょうか?
その方法のいくつかをご紹介していきます。
スマートキーの電池を取り外す
これは一番確実な対策になります。
車を使用しない時は、スマートキーの電池を取り外す事で、スマートキーから電波が飛ばなくなるため、リレーアタックが出来なくなります。
最近では、スマートキーに電波ON/OFFのスイッチがあるものも登場しています。
しかし、電池を毎回取り外したり、セットしたりはとても面倒ですよね?
スチール缶に入れて保管する
100均で売っているようなスチール缶の携帯灰皿のようなものでも良いですし、お菓子の空き缶などでも良いです。
ここで大事なポイントは、フタでしっかり密閉できるということです。
口の開いた状態の缶では、完全に電波を遮断することはできません。
これは外に持ち歩くには不便ですね。
スマートキーをアルミホイルで包む
意外と簡単な方法で、しかもほぼゼロ円で対策が出来てしまいます。
破れてしまわないように注意して包みます。
ただ使用する時は、包んだアルミを剥がして、使った後に再び包まなくてはいけません。
予備のアルミホイルが必要になりますね。
電波遮断ポーチを使う
多少お金がかかりますが、愛車が盗まれることを考えたら、これが最もスマートな方法かもしれません。
電波遮断ポーチなら、外に持ち出して歩いても不自然ではないですね。