2022年2月、札幌では例年に無い大雪に見舞われ、除雪も排雪も追いつかない状況が続いています。
一時期は、JRもバスも全て運休となって、交通網が大混乱になったりもしました。
それでも少しずつ除排雪が進んで、車もだいぶ走りやすくなってきました。
札幌のように100万人を超える大都市で、これほどの大雪が毎年のように発生する都市は、世界的に見ても稀だそうです。
これだけの人口が密集しており、さらに雪害が多い地域では、除雪は大きな課題のひとつになっています。
自宅の前に積もった雪をどこに捨てるのかという問題は、毎年頭を悩ませることになりますが、捨てる場所が無いと、ついやってしまうのが「車道への雪捨て」です。
実はこの「車道へ雪を捨てる」行為は、道路交通法違反で罰せられます。
結構知らない人が多いので、今回は、車道への雪捨てについて詳しくお話ししていきたいと思います。
ついやってしまう車道への雪捨て行為
車で札幌市内を走っていると、幹線道路(国道)でも小路でも、どこを走っていても少なからず車道に雪を捨てているところを目にしてしまいます。
なぜ、多くの人が車道に雪を捨ててしまうのでしょうか?
まずは、なぜ車道に雪を捨てるのか、ということについて考えていきたいと思います。
雪を捨てる場所が無い
住宅が密集している地域では、雪を捨てる場所の確保が難しいのが現状で、近所に公園や空き地などがあれば、そこに捨てたりしています。
アパートやマンションなどでは、多少捨てる場所が確保されていたり(使用していない駐車スペース等)、管理人が除雪をしてくれたりします。
車道に面した住宅や店舗では、歩道上に山を作るように雪を積み上げて除雪せざるを得ないのが現状です。
一部地域では融雪溝が設置されているところもあったり、個人宅で融雪溝を備え付けているところもあったりしますが、多くのところでは路上に雪を捨てるしかありません。
歩道が狭かったり、車道に面した駐車スペースがある場合は、歩道上に雪を捨てるのが困難な場合があります。
そのような場合に、やむを得ず車道上に雪を捨てることがあるようです。
車道に雪を捨てると早く溶ける
もうひとつ、車道に雪を捨てる大きな理由としては、車道の雪が早く溶けるということです。
車道に雪を捨てると、車に踏みつけられることで歩道の雪よりも早く溶ける傾向があります。
また、車道の雪は定期的に重機によって除排雪されることが多いので、それらを当て込んで車道に雪を捨てるのが、理由のひとつになっています。
なぜ車道に捨ててはいけないのか?
車道に雪を捨てると、どのような問題が起きるのでしょうか?
歩道に山のように積まれた雪ですが、当然のように車道にも流れ込んでしまうので、道路幅を狭くしてしまいます。
歩道上に積まれた雪山が視界を遮るので、歩行者や交差点の車両が見えないという問題もあるのですが、今回は車道に雪を捨てた場合の問題に絞ってお話しします。
車両の走行を妨げてしまう
車道に雪を捨てているところと、捨てていないところでは、路面状況が極端に違ってきます。
車道上に雪を捨てているところでは、路面が傾斜しているところが多く、とても走りづらくなります。
また、そのようなところでは、路面がでこぼこになっていることも多くなり、徐行しなくては走れない場合もあります。
道路幅も狭くなりがちで、幹線道路から一本中に入った小路では、対向車とすれ違うのも一苦労です。
事故を誘発してしまう恐れがある
上記のことから、走行の妨げになるのですが、例えば路面が傾斜しているようなところでは、傾斜でスリップすると対向車と接触事故を起こしてしまう可能性もあります。
また、でこぼこ路面では、車の底を路面の氷で擦ってしまい、場合によってはフロントバンパーなどを破損してしまうこともあります。
ドライバーとしては、「道路に雪を捨てるなっ!」と腹立たしく思うこともあるのですが、そういった道路は迂回して避けて通ることもよくあります。
事故を起こしたり、車両を破損したりすると、結局はある程度自己責任になってしまいますし、何より気持ちがへこんでしまいますよね。
道路交通法での雪捨て禁止について
そもそも、車道に雪を捨てる行為は、あまり知られていないのですが、道路交通法等で禁止されています。
現状ではグレーゾーンとして扱われているような印象ですが、札幌市では冬季間の路上駐車が除排雪の妨げになっていることと同じくらい啓蒙活動を勧めています。
具体的な内容は、以下のとおりとなっています。
道路法
(道路に関する禁止行為)
第四十三条 何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
(罰則:第百二条第三項 一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金)
道路交通法
(禁止行為)
第七十六条
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路においてはならない。
(罰則:第百十九条第一項第十二号の四 三月以下の懲役又は五万円以下の罰金)4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為。
(罰則:第百二十条第一項第九号 五万円以下の罰金)
道路交通法施行細則
第19条 法第七十六条4項七号の規定による道路における禁止行為は、次の各号に掲げるものとする。
2 みだりに交通の妨害となるように道路にどろ土、雪、ごみ、ガラス片その他これらに類するものをまき、又は捨てること。
冬のくらしに関する法令・条例(札幌市:札幌の冬のルール・マナーより引用)
まとめ
車道に雪を捨てる行為は、道路交通法等で明確に禁止されており、罰則も設けられています。
交通の妨げになるだけでなく、事故を誘発する可能性もあるので、絶対に止めて欲しいですね。
捨てるところが無いんだからしょうがないだろ!っていう意見もあると思いますが、万引きやスピード違反と同じように法律違反(犯罪)だということを認識しておいて下さい。
小型で移動式の融雪機も比較的安価で販売されているので、検討してみるのも良いかもしれません。