サンキューハザードという言葉をご存知でしょうか?
道を譲ってくれたり、車線変更などをした時に、後続車両に対してお礼の意味を込めて、ハザードランプを数回点滅させる行為を「サンキューハザード」と呼んだりしています。
サンキューハザードには、法的なルールがあるわけではなく、ドライバー同士の慣例として暗黙の了解で行われています。
ハザードランプの明確な使い方として、一部道路交通法施行令で明記されているものもあります。
そこで今回は、道路交通法施行令で明確に示されているハザードランプの正しい使い方と、サンキューハザードのように慣例としての使われ方をご紹介したいと思います。
道路交通法施行令に明記されているハザードランプの正しい使い方
ハザードランプは法律上は、「非常点滅表示灯」と呼ばれており、通常運行時には使わないものとして定義されています。
ハザードは、危険とか障害のような意味があります。
自分の車両が、他の車両の通行の妨げになるような障害物になりうる場合に、ハザードランプを使用するのが基本になります。
道路交通法施行令には、非常点滅表示灯の使用について言及しているものがあります。
道路交通法施行令 第18条(道路にある場合の灯火) 2項
道路交通法施行令 第18条(道路にある場合の灯火) 2項では、以下のように明記されています。
自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が五・五メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。
要約すると、「夜間に、2車線道路で駐停車する時は、ハザードを焚かないといけない」ということです。
道路交通法施行令 第26条の3(通学通園バス) 2項
道路交通法施行令 第26条の3(通学通園バス) 2項では、以下のように明記されています。
通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない。
要約すると、「スクールバスは、停車して生徒が乗り降りしている時は、ハザードを炊かないといけない」ということです。
実は、法律上明確に定義されているハザードランプの使い方は、この2つだけなので、「ハザードランプの正しい使い方」は、夜間の駐停車、スクールバスの乗降だけということになります。
それ以外の使い方は、ドライバーの慣例として使われているもので、明確なルールが無いのが実情です。
一般的に使われているハザードランプの使い方
ここでは、一般的にドライバーの慣例として使われている、ハザードランプの使い方について、ご紹介したいと思います。
ここで紹介する使い方は、法的根拠が無いので、必ずしもそうしなければならないものではない、ということを念頭において下さい。
駐車場にてバックで駐車する際
商業施設などの駐車場で、バックで駐車する際に、「今から、そこの空いているスペースにバックで駐車しますよ」という合図を出す時にハザードランプを点灯させて、駐車の意思表示をします。
低速の作業車両
道路清掃車、除雪車など、法定速度よりも下回る速度で走行している車両は、他の車両の走行を妨げる可能性があり、周囲に注意を促す意味も込めて、ハザードランプを点灯させています。
夜間や緊急時を除く駐停車
日中や緊急ではない、荷物の積み下ろしなどの駐停車においても、ハザードランプを点灯させて止めたりします。
長時間、エンジンを停止して路肩に駐車する場合は、ハザードを焚かないこともあるので、ケースバイケースと言えるかもしれません。
昔は、路肩に停車する場合には「左の方向指示器を点灯」させたりもしていましたが左折と混同するため、今ではすっかり見かけなくなりました。
渋滞時の最後尾
高速道路などで渋滞の最後尾に着いた時は、追突防止の意味でハザードランプを点灯することがあります。
JAFやNEXCOでは、この使い方を推奨しているようです。
濃霧や吹雪などの視界不良時
濃霧走行や吹雪による視界不良時の走行では、自分の車両位置を知らせる意味でハザードランプを点灯させることがあります。
サンキューハザード
進路変更や合流などで進路を譲ってもらった場合、後続車両に対してお礼の意味でハザードランプを数回点滅させて合図をするという使い方があります。
長時間ハザードを点灯させると、挑発行為と見なされる場合もありますし、地域によってはハザードの意味も変わっていたりします。
また、進路を譲ってもらった時にハザードを点灯させなかったことで、「あおり運転」の被害にあった例もあるそうです。
法的根拠のある使い方ではないので、ハザードを焚かなくても問題は無いのですが、無用なトラブルを避ける意味でも、会釈や手で合図したり、ハザードランプを2〜3回点滅させて、お礼をしておいた方が無難かもしれません。
まとめ
ハザードランプは、自分の車両が障害物になりそうな場合に点灯するものであり、道路交通法施行令によって明確に定義されている場合があります。
正しいハザードランプの使い方としては、
- 夜間に2車線以上の道路で路肩に駐停車する場合
- スクールバスなどが生徒を乗降させている場合
の2点になります。
また、一般的な使用方法としてドライバー同士の慣例となっている場合がいくつかあります。
- 駐車場にてバックで駐車する際
- 低速の作業車両
- 夜間や緊急時を除く駐停車
- 渋滞時の最後尾
- 濃霧や吹雪などの視界不良時
- サンキューハザード
これらは本来の使い方ではありませんが、警察車両や運送会社の車両、道路保全の作業車両でも、これらの使い方をしていることがあるため、間違いと言い切れないほど、定着しているものなので、マナーとして覚えておくと良いかもしれませんね。