北海道は、かつて交通死亡事故数が全国でワースト1位が続いていました。
平成4年から14年まで、11年連続で全国ワースト1位という時代もありました。
しかし、最近ではワースト5位にも入っていないことが多くなっています。
北海道で車を運転する人にとっては、どうしても意識してしまう交通死亡事故について考察してみたいと思います。
北海道がなぜ交通死亡事故ワースト1位だったのか
北海道では、他の都道府県に無いいくつかの条件によって、これまで交通死亡事故数が全国最多でした。
その原因は、大きく分けて3つあります。
・道路が広く、信号も少ないため、スピードが出やすくなっている
・冬道に慣れない初冬に交通事故が増える
・交通量の一番多い時間帯に、一番交通事故が増える薄暮を迎える
上記は北海道ならではの条件ですが、それに加えて人口が多く、自動車保有台数も多いため、必然的に交通事故が増えてしまいます。
しかし、実は交通事故数は、全国的に見るとそれほど突出して多いわけではありません。
北海道の交通死亡事故が多い理由の一つは、上記の一つ目にある、スピードが出やすくなっているところに原因があります。
人身事故が100件発生した場合の死亡者数を致死率と言いますが、以下のように推移しています。
19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 | 26年 | 27年 | 28年 | |
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北海道 | 1.21 | 1.08 | 1.12 | 1.19 | 1.16 | 1.34 | 1.34 | 1.38 | 1.59 | 1.39 |
全 国 | 0.69 | 0.68 | 0.67 | 0.67 | 0.67 | 0.66 | 0.70 | 0.72 | 0.77 | 0.78 |
平成28年で見ると、北海道は100件の人身事故に対して1.39人の死亡事故となっているのに対し、全国平均は100件の人身事故に対して0.78人の死亡事故となっています。
北海道の場合、交通事故が発生すると死亡事故につながりやすいと言えます。
北海道の交通死亡事故が減っている理由
北海道では、近年交通死亡事故の発生は減少傾向にあります。
ここ数年では、都道府県別でみてもワースト5からも外れることが多くなっています。
20年 | 21年 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 | 26年 | 27年 | 28年 | 29年 | 30年 | |
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北海道 | 228 | 218 | 215 | 190 | 200 | 184 | 169 | 177 | 158 | 148 | 141 |
東京都 | 218 | 205 | 215 | 215 | 183 | 168 | 172 | 161 | 159 | 164 | 143 |
愛知県 | 318 | 281 | 256 | 276 | 235 | 219 | 204 | 213 | 212 | 200 | 189 |
千葉県 | 213 | 197 | 184 | 175 | 175 | 201 | 182 | 180 | 185 | 154 | 186 |
神奈川 | 189 | 176 | 182 | 180 | 179 | 168 | 185 | 178 | 140 | 149 | 162 |
大阪府 | 198 | 205 | 201 | 197 | 182 | 179 | 143 | 196 | 161 | 150 | 147 |
平成24年と27年に一時的に増加していますが、それ以外は減少しています。
北海道では、なぜここまで減少しているのでしょうか?
そこには、以下の理由が挙げられています。
・ドライバーの交通安全意識の高まり
・安全施設や道路整備(冬場の除雪など)
・車両の安全性能の向上
・救急医療体制の整備
これらは全国的に見られる傾向ですが、北海道では特に除雪・排雪などの道路整備、取り締まりの強化、車両保有台数の減少が顕著に表れているのではないかと考えられます。
参考資料として
政府統計の総合窓口「e-stat」にて提供されている「平成30年中の交通事故死者数について」を参考にさせていただきました。
おまけですが、上記資料によると統計が開始した昭和23年から全国の交通事故死亡者数の推移が記されています。
それによると、昭和34年から50年まで1万人を超えていました。
その後減少していきますが、昭和63年から平成7年まで再び1万人を超えています。
前半は高度経済成長、後半はバブル経済の時期と一致しています。
景気の動向と自動車保有台数が関係しているかもしれない、興味深い資料ですね。